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ADHDとタバコ

突然ですが、私は喫煙者です。

歯医者なの喫煙者なの? 逆に禁煙を指導する立場じゃないの?

と言いたくなる気持ちは分かります。ただ待ってください。

ADHD特性を持っている方の喫煙は、セルフメディケーションの一種

だと私は考えています。

今回は、ADHDとタバコについて語ろうと思います。

ADHD患者の薬物依存

ADHD患者は不安や抑うつが強く、健常者と比べ薬物依存も2.5倍多いとされています。

また成人ADHD患者の35%はアルコール中毒であることが知られています。

なぜADHD患者は薬物依存傾向があるのでしょうか。

前頭前野の働きが弱いことで、自制心が弱いことも理由の一つかもしれません。

社会の中で様々な生きにくさを感じ、それを忘れる為に薬物依存になるのかもしれません。

しかし私は、

ADHD患者の喫煙は、セルフメディケーションの一種だと考えています。

 

タバコの成分

タバコを燃やしたときに出る物質は、基本的に2つに分類されます。タールとニコチンです。以下でそれぞれ軽く解説しておきます。

タール

たばこのいわゆるヤニの成分。発がん性物質が数十種類以上含まれています。これが癌や肺炎などの病気を主に引き起こしています。タバコ特有の臭いもこちらのタールに分類されます。

ニコチン

アルカロイドの一種で、神経毒性の強い猛毒です。化学物質としては毒物に指定されています。たばこを吸うと肺からニコチンが取り込まれ、ニコチンは急速に脳内の腹側被蓋野にあるα4β2ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)に結合します。ニコチンが受容体に結合することで、側坐核から大量のドーパミンが放出されます。ドーパミンは快楽に関わる脳内神経伝達物質であり、そのドーパミンの大量放出により強い快感が得られます。ニコチンはドーパミンだけでなく、ノルアドレナリン(覚醒、食欲抑制)、セロトニン(気分の調整、食欲抑制)、アセチルコリン(覚醒、認知作業の向上)などの神経伝達物質の分泌にも関わっています

ADHD治療薬であるメチルフェニデート徐放剤(コンサータ)は前頭前野のドーパミンとノルアドレナリン濃度を上げることにより、ADHDの症状を緩和させていると考えられていますので、ニコチンとコンサータは非常に良く似た作用を示していますね。

つまり

ADHD患者の喫煙=セルフメディケーション

と言っても過言ではないと思います。

ただし、ADHDの諸症状がましになったとしてもタバコの害は非常に多くあります。

100害あって1利ありぐらいの状況です。

どのようにニコチンを摂取すべきなのか、についてはまた今度記事にします。

喫煙の程度

ADHD患者は、一度タバコを試すと4~5倍重喫煙者になりやすいという報告がある一方で、関連しないと主張する論文もあります。

また、ADHDが重喫煙のリスク因子になるのは患児のIQが高い場合であるとする報告もあります。

患児のIQが高いとADHDの重喫煙のリスク因子になるということは、

高いIQによって自分の脳が低覚醒状態であることを自覚し、理想とかけ離れた脳を無理やり覚醒させようと行動に移しているからではないでしょうか。

いわば理想の自分に近づけるための努力と言っても良いと思います。

まとめ

ニコチンはメチルフェニデートのように、間接的なドパミンやノルアドレナリン作動薬として働き、ADHDの症状を軽くする可能性が高いとされてますが、人での比較観察研究は少なく、まだ結果は一致していません。

いわばまだ研究段階なので、はっきりはしていません。

しかし私は、ニコチンはADHDに対して効果があると実感しています。

最近では、ADHD患者にニコチンパッチを貼付するとADHDの症状が改善するとする報告が複数あります。タバコ(ニコチン)とADHDの関係性について、これからの研究が楽しみですね。

ただし、タバコは害が大きいので、できるだけニコチンのみを摂取するようにしましょう。

その方法についてはまた後日。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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